刑事事件と民事事件の違いについて分かりやすく解説

刑事事件と民事事件

刑事事件とは、窃盗や強盗、詐欺などの犯罪を犯したと疑われる者に対して警察が捜査し犯罪が行われたと疑わしいものを検察に送致し、検察が当該事案について有罪であると考えるものについて起訴し、裁判手続きの中で犯罪の有無と刑罰が決まっていくという手続に乗せられる事件のことをいいます。警察や検察といった国家機関と犯罪を犯したと疑われる個人との間で争われる手続きということがいえます。

一方、民事事件とは、貸したお金について返さないというような私人と私人の間の法律的な紛争について、裁判所に訴えて、金の受け渡しがあったのか否かや、返還の約束をしたのか否かといった民事の請求に係る法律構成に基づいてその要件事実を認定して、当該請求を認めるか否かを決める手続きに乗せられる事件のことをいいます。これは、基本的には私人と私人という間で争われる手続きです。
相手方が国家機関等であっても通常の契約の履行の争いといった場合にはこの民事事件で解決します。

民事事件と刑事事件では、裁判所において法的な紛争を解決するという観点では同じなのですが、民事事件が私人間の争いであり、当事者がそれでよいといえば裁判所がそれと異なる事実を認定して判断を下す必要はないし、そのようなことをするとかえって解決を求めた人達に思わぬ不利益を与えてしまうおそれがあるのに対し、刑事事件については、犯罪を犯したと疑われる者がやってないのにやりましたと言えば犯罪が成立するとしてしまうと、実際に犯罪を犯した人に対して刑罰を課すという刑事法の目的を没却してしまうといった問題が生じます。

そこで、民事と刑事の案件においては、裁判手続きにおいて大きな差が認められます。そこで、刑事事件としても民事事件としても成立する詐欺事件についてみていきましょう。

詐欺事件のケース

まず、事実の認定についてです。民事について、詐欺事案の場合は、だまし取られたのでその金を渡した契約なりを取り消したから金を返せという構成となります。当事者がいいといっているものについて裁判所が職権で真実を発見する必要性はうすいことから、当事者が争わない事実についてはそのまま裁判所は認定することとなります。
だましたという点について争わないケースはあまり想定できませんが、争わなければそのまま認定されます。また、争いがある事実を立証する証拠についても原則的に当事者が提出した証拠によって事実を認定します。

一方、刑事事件についてですが、詐欺案件については詐欺罪として起訴するということになります。そして、実際の犯罪を犯した者に刑罰を課すために真実を発見しなければなりませんから、だます意思があったのか、金の交付を受けたのかといった要件について検察や被告人側が主張立証することに完全に拘束されるわけではなく、理論的には裁判所が真実を追求することが可能です。ただ、現実的には裁判所が訴訟指揮の中で当事者に指示して事実や証拠の疑義について確認することになります。当事者が処分してよいことがらと処分することが許されていないことがらという違いにより手続きに差が出てくるのが民事事件と刑事事件の違いということになります。